WITH10周年に寄せて。
2013年4月20日(土)に、関係者の皆さまを招き、開所式を行い、22日(月)に初めての利用者をお迎えした事は、今でも鮮明に覚えています。
当時、スタッフの子どもも幼稚園から中学生。新入学の子どもたちも多い中、扉を外したり、おもちゃを置いたりレイアウトを工夫したり、近隣の先輩ひろばの方々に相談しながら、書類や会員カードを作成したりして、春休みを過ごした記憶があります。
まだまだ子育て支援などという言葉が一般的ではなく、「子育て広場」を始めると周囲に言っても、保育士じゃないのに?そこで何をするの?とみんなにいわれていました。
あれから10年、少しずつ「4月22日」は、私たちにとって大事な友人や親せきのおたんじょう日のような日になりました。
そして、先日1/2成人式を迎えることが出来ました。
毎日、かわいいお子さんと素敵なママ・パパに会えて、成長を一緒に見ることが出来て、なんて幸せなんでしょう。本当にそう思います。役得とすら思います。中には、WITHで初めて歩いたお子さんもいますし、ママ以外の抱っこで泣くのに、なぜかスタッフの抱っこが大丈夫だったお子さんもいます。
子育て支援なんて、偉そうなことをしているつもりはないですし、居場所づくりなんて言っているけど、本当は私たちの居場所でもあります。
ただ、一生懸命頑張って良い場所にしよう、利用者さんの役に立とう、と肩に力が入っていた最初のころより、私たちが楽しくゆるく広場運営をしている今が、「なんだかいい感じ」になってきたのかなと思っています。その素敵な空気感は、「絶対に」利用者の皆さまが育ててくれたものなのです。約570組のご家族が、作り上げてくださいました。
でも、開所して4年を過ぎたころ、なんだかこれで役に立ってるって言えるのかな?と自問自答して、スタッフもトライしたいと言い出して(ここ重要、私が決めたんじゃない)、広場内一時預かりを始めました。
こちらはお子さんの命をお預かりするわけですから、責任の重みは半端なくて、預かりのスタッフも当初は4時間預かりをやったあと、ぐったりと疲れていました。
でも、どんどん良い意味で慣れてきて、今日は○○ちゃんと何して過ごそうか?泣かずに過ごせるかなーと工夫や楽しみ、やりがいを積み上げて行きました。
一対一ですから、成長を見ることが出来たり、ママと一緒の時とは違う顔が見られたり、預かりスタッフが大好きになるお子さんも増えましたよね。
生活が変わったり、体調がすぐれなくなったりして、残念ながら辞めて行ったスタッフたちもいますし、ボランティアになった方もいます。
でも、開所時のスタッフは、すべて今もLINEでお話ししたり、時には一緒にご飯を食べたり、と仲良くしています。素敵な仲間です。
そして、利用者だった(今も利用者でもある)スタッフが3名に増えました。WITHという場所がつながりを生み出し、新たな形になっていき、本当に嬉しいことです。
先日、昔の利用者で今は小学生の母となった方が、地域の居場所づくりについて、またWITHってどうやって生まれたか教えてほしい、と引っ越し先から訪ねて来てくれました。
自分も地域で居場所を作ってみたい、何か子どもたちのためにやってみたい、そんな相談も増えてきました。
10年ってそういうことなんだな、私たちと一緒に過ごした事を心に留めて、自分にも何かやれないかなと思ってくれるんだなと思うと、ほんとうにやっていて良かったなと感じます。
施設長コマツがワーママ時代、朝の満員電車に乗っていた時に、抱っこひもの赤ちゃんとママが荷物を持って乗ってきました。
そりゃー泣くよね・・・案の定、ぐずり始めました。こんな混んでる電車になんで乗るの?という空気もあって、そのママはとても気まずくて気の毒で。電車の揺れで近づいたふりをして話しかけました。たいへんね。私ももう少し大きい男の子がいるのよ、と。ママは、事情があって実家に帰る事になり、時間もなくて急行に乗らざるを得なくて、と話をしてくれました。そのあともたわいのない会話(覚えていない)をして赤ちゃんを一緒にあやして、渋谷を過ぎてすいた頃、「声をかけてもらえなかったら、肩身の狭いまま本当につらかったです、ありがとうございました」と言われました。
逆の立場なら、本当につらかったと思うので、大した事をしたわけではないなーと思っていたのですが、最近なぜかこのことを思い出します。これが私の「初心に帰る」なのかもしれません。
小さいお子さんと一緒にいるママに、ちょっと話しかけたり、ベビーカーを持ってあげたり、、、それをためらう空気がコロナ感染症のせいで生まれてしまいました。7周年の時は広場は臨時閉所中。本当につらい誕生日でした。
が、そろそろコロナ以前の日常に近い生活も戻ります。マスクを取れるのももうすぐかなあ、ママやパパの満面の笑み、素顔を見せてもらえるのも楽しみです。
子どもが、ママがパパが、のびのびと自分らしく過ごせるように、子育てが苦労で孤独にならないように、これからも地域に根差してWITHを続けて行こうと思います。
近いうちに予約制も無くし、ランチタイムも段階的に再開して行く予定です。お子さんだけではなく、親として成長して行くママやパパに負けないように、私たちも歩みを止めず、でも頑張り過ぎずに、ほっとする居場所を続けて行きます。どうぞ利用者の皆さま、地域の皆さま、関係者の皆さま、一緒にWITHを育てて行ってもらえたらと思います。
まとまりのない文章となりましたが、4月22日に書くことが出来ず、遅くなってしまいました。
7月1日(土)に、すすき野地域ケアプラザにて、10周年のイベントを開催します。その時には昔の利用者さんや今の利用者さんにお会いできることを、楽しみにしております。
今まで本当にありがとうございます。
そして、これからもWITHをどうぞよろしくお願いします。
令和5年4月30日
横浜市補助施設
親と子のつどいの広場WITH
施設長 小松 奈保子
Comments